晴明神社(陰陽道と一条戻橋)Seimei Jinja Shrine Kyoto Japan
安倍晴明の生きた平安京はあらゆる宗教で守られた都市でした。
それでも都の災いは止まず、貴族も個人的な災い(呪詛や穢れ、病気等)
と対峙しなければいけない時代でした。
そこで平安京の防御のみならず、天皇・貴族達のニーズに応えたのが
天文博士であり陰陽師の安倍晴明でした。
晴明の活躍ぶりは『大鏡』『今昔物語』『宇治拾遺物語』『十訓抄』
等の説話集に書かれており、晴明の死後に神秘化・神格化され、
晴明神社にて祀られることになります。
中でも有名な話が晴明が使役する『式神』を一条戻橋に隠しおいた
話です。ここで重要になってくるのが、なぜ一条戻橋なのか?です。
それは一条戻橋が内裏の表鬼門にあたり、戻橋より北方が魔界・異界
と考えられていたからです。戻橋の川は堀川と言い、
平安京造営時の人工河川です。しかしその川の源流は貴船川であり、
貴船の奥の宮や鞍馬の僧正ケ谷に鬼国があり、そこから鬼達が内裏
の近くまでやってくると考えられていたようです。
それらの調伏に式神が必要でした。(鬼でもって鬼を制す)
また堀川の一条から北方は葬送の道(蓮台野に行く)で、葬送の時
にこの橋を渡るために、この世とあの世との境界でもありました。
それと水の持つ清らかさと祓い、水の中は常世という重層的な宗教
観、仏教の極楽・地獄等が習合されます。
戻橋と言う名は、この世とあの世・極楽・地獄・黄泉がえる、
生の世界に戻る異次元トンネル?(橋)でした。
そこで晴明に戻りますが、晴明は泰山府君という道教の死者を
蘇らせる秘術を使うことが出来、スーパーヒーローとなります。
そしてあらゆる災いをもたらすこの魔界・異界への出入り口を
いともせずに、式神で制し人の生死や呪詛祓いを陰陽道で
調伏出来るのが安倍晴明でした。
面白いことに、この時期に晴明以外にも蘇り、又は
地獄とこの世との行き来の話があることです。
一条戻橋で自分の父親を一時蘇らした浄蔵貴所。
(密教僧で八坂の五重塔の傾きを直す験力等を持っています。)
地獄との行き来は小野篁がいます。(ちなみに小野篁の墓が
堀川の紫明通に紫式部の墓と共にあります。)彼は六道珍皇寺の
井戸から出入りしています。
これらが現在パワースポットと呼ばれています。